ナースのストーリー

タイトル画像

  • HOME
  • ナースのストーリー

安心できる退院を

看護師長 伊東千恵

画像  私が看護師を目指そうと思ったのは、中学生のとき、同じ中学校で進路指導を担当していた父のすすめがきっかけです。すすめられた当初は、「看護師ってどんな職業なんだろう?」と何もわからなかったのですが、看護師に関する本やドキュメンタリーを見て、看護師になろうと思うようになりました。その後、衛生看護科のある高校に進み、併設の専攻科で2年学んで、資格を取得しました。
  看護師として働くようになってからは、主に外科病棟に勤務していました。外科病棟では、目的の手術が終われば退院という患者さまも多いのですが、土庫病院では、一連の流れの中での退院ではなく、患者さま・ご家族が安心して退院できるように病院全体で取り組んでいます。最初のころは、その状況に戸惑っていましたが、働いていくうちに退院後のことも見据えて支援していくことが、患者さま・ご家族に必要であると思うようになりました。この病院で働いて、退院というものを、病院・医療従事者目線ではなく、患者さま・ご家族の目線で考えて支援していくことが、私たち看護師の本来の役目であるということに気付かされました。

ご希望に応える喜び

 私が今までで印象に残っているのは、肝臓がんの末期の男性の年配の患者さまです。その患者さまは、ご自宅に脳梗塞後の一人暮らしの奥様がいらっしゃいました。入院当初は外泊できたのですが、病状が進行していくにつれ外泊もできず、奥様のご様子も見ることができなくなってしまいました。そうなると、奥様のことや、家の周りの剪定していた木々が気になると、家に帰りたいという希望を持たれるようになりました。
しかし、その時にはもう自分で歩くこともできず、動作レベルもかなり落ちてきていたので、ご家族の方が連れて帰られるのも困難な状況でした。介護タクシーを呼べばいいのではと思われるかもしれませんが、車で30~40分と負担も大きく、専門的な目も必要です。そんな時、私はふと「ついて行ってさしあげたい」と思ったのです。病院・主治医の許可をとり、私を含めて看護師3人が同乗し、その患者さまの希望であった一時帰宅をすることができました。
 ご自宅では、現在の奥様の生活も見ることができ、また、死期についても告知されていたので、気になっていた書類の整理や奥様に直接伝えたかったことなどを話されていました。最後に、庭周りの剪定されていた木々を見て、一時帰宅は終わりました。わずか2時間ほどの滞在でしたが、患者さまは見たいことしたいことをでき、「すっきりした」とおっしゃっていました。そして、患者さまはその2日後亡くなられました。あのタイミングが、一時帰宅の最後のチャンスだったのだと思います。
 このように、患者さまのご希望に応えるということは、患者さま本人が納得して生活されたり、最後を迎えられたりするにはとても重要なことであると強く感じています。また、患者さまのご希望にできる範囲内で応えることができたとき、看護師としての喜び・やりがいを感じることができます。これからも患者さまのご希望に寄り添いながら、それに応えていきたいですね。

チームを支える自分でありたい

画像 「看護」って、人の生から死までの長い人生の一部に関わることができる数少ない職業ですよね。その職業に就けたことを私は今でも誇りに思っています。看護師としてその人の大事な一場面に関わらせていただいていることを自覚し、これからも患者さま・ご家族が安心して退院できるように精一杯のサポートをしていきたい気持ちでいっぱいです。
 また師長としては、スタッフみんなが働きやすい環境を作っていきたいですね。新人で入ってくる人たちは、自分の子どもたちの年代ばかりですし、当然それぞれの考え方・感じ方も違ってきます。そんな中でも、すべてのスタッフが自分の想いが口に出せるような環境を作っていきたいと考えています。
  病棟内のチームワークがとれるようにするとともに、俯瞰的な視点をもってチームを支えていきたいと思います。              
                                   前のページへ戻る   

なんで看護師に?

看護師 中地愛子

画像  私は土庫病院では、最初、介護ヘルパーとして働いていました。介護の仕事もやりがいある仕事だったのですが、看護師の方と接するようになり、自分がヘルパーとしてできることが限られていることを痛感し、悔しく思うことがありました。
 一方で看護師には自分にできないことができる。その時からやっぱり看護師になりたいなぁって・・・。たとえば、つらそうにしている患者さまがいる時に、ヘルパーの自分では看護師に、「あの患者さまが苦しそうにしておられます。」と伝えることしかできません。しかし、自分自身看護師になると患者さまが苦しそうにしておられるのを見て、今何をすべきかを判断して、それを実際に行動することができる。そう考えると「看護師になりたい」という気持ちが高まっていき、資格を取得しようと思ったのです。

責任が重いから「ありがとう」が嬉しい

   看護師になってよかったと一番感じるのは、患者さまから言っていただく「ありがとう」の言葉の重さ。それに尽きると思います。確かに、私がヘルパーの時にも患者さまから「ありがとう」の言葉をいただいていました。しかし、看護師になって感じるのはその重みですね。というのも、前項目でも述べましたが、ヘルパーの時と看護師になってからでは仕事の幅も全然違います。一番の違いはやはりその「重み・責任」でしょうか。そして、看護師になった当初は、その責任が怖くも感じ、目の前で亡くなろうとしている患者さまから逃げようとしてしまう自分もいました。でも、ある大変つらい病状にある患者さまの一言が私の考えを一変させてくれたんです。
  その方は、もう命は助からないだろうと予測できる状態でした。ご自身が一番つらい状況にあるのに、「たとえ自分は死んでしまうとしても、何か人の役に立ちたい」と言われたのです。そして臓器提供の意志などを口にされました。その一言で私が感じたのは、「患者さまがこんなにつらい状況でも人の役に立ちたいと言わているのに、自分は何で逃げようとしていたのだろう、自分こそ患者さまの役に立たなければいけない、ほかにもっと出来ることがあるのではないか」と。
 それ以来、確かに、患者さまの様態が急変したりして、大変に感じることはあります。でも、今、自分がしないといけないことはなんだろう、何をしてさしあげられるのだろう、そう感じて行動することができるようになりました。
 「ありがとう」という言葉とその責任。私は、その責任があるからこそ、「ありがとう」と言われた時、本当に嬉しく感じるのだと思います。

自分らしい看護師になるために

画像  看護学生時代の私は、何かしら認定看護師になれたらと思っていました。しかし、実際に働き出してみると、目の前にやるべきことはいっぱいあります。でもその前に、看護師として最も重要なことってなんだろう?と考えるようになりました。
 それは、患者さまと向き合うことではないでしょうか。目の前の仕事に追われていると、なかなか患者さまとゆっくりとお話しする時間を見つけるのは難しいですが、自分でその時間を見つけて患者さまと向き合う。これが本当に「看護」という面で重要なのではないかと思います。そのためには、能率よく仕事をこなすことはもちろんですが、自分に「余裕」がないのではいけないですよね。
 『心に「余裕」をもった看護師』。そうなれるように一歩ずつ頑張りたいです。
                                  前のページへ戻る           

ページ上部へ